民泊の中のひと vol.5 「”AsiaYo” Head of Japan 内海 玄氏」

share,beでは民泊の見える化を目指し、「中の人」への取材を通して、民泊をより身近にイメージできるよう情報を発信している。今回は、「AsiaYoHead of Japan 内海玄氏に取材のご協力を頂いた。

台湾発の民泊予約サイト「AsiaYo」、日本展開を牽引する内海氏が考える民泊の今後、サービス展開、民泊新法についてなど様々な角度から話を伺うことができた。

AsiaYoとは

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AsiaYo(アジアヨー)は台湾発の民泊予約サイトで、台湾では約9,000件の民泊物件を掲載。2016年6月から本格的に日本でサービスを展開し、台湾から日本への旅行者と日本の民泊宿をマッチングしている。訪日外国人の増加で盛り上がる観光業において、台湾からの旅行者数は中国、韓国に次いで3番目に多い国とされ、AsiaYo経由予約は平均毎月25%の増加を続け、民泊ホストから予約の取れるサイトという評判になっている。

C2Cをカルチャーフィットさせることが必要

AsiaYoを立ち上げた経緯は何ですか?

Airbnbは欧米に強く、アジアでも広く展開されているのですが、ゲスト・ホスト問わず英語が得意ではない方が海外旅行で利用するにはハードルが高い部分があると感じています。英語を話せる方は若い人を中心に増えているのですが、やはりまだ苦手意識を持つ人も多い印象があります。その言葉の壁を解消するという点が、弊社が業界に参入する意味だと思います。

あと、民泊はC2Cで気軽に他人の家に泊まってその国の文化を体験するという意味で欧米では喜ばれやすいけれど、アジアではあまり受け入れにくい部分があるように思います。初めて会う人とのコミュニケーションを楽しむというより、必要な時にだけ必要なことを教えてくれれば良い、そんな距離感がアジアでは受け入れられるのかなと感じますね。そのため、C2Cという概念は欧米ほど当たり前ではなく、成熟するにはまだまだかかるかなと考えています。我々はアジアに住んでいるのでアジアが見えていて、現実を知っている、アジアの人が求めていることを知っている。まずは、アジア人が求める形にC2Cをフィットしていければと思います。

今後はアジア圏に広く拡大を予定

AsiaYoの今後の展開はどのようにお考えですか?

最初は台湾国内での宿泊予約だったものが、今は台湾から日本での宿泊を扱うようになりました。 親日国と言われる台湾にとって、日本は最も人気のある旅行先であり、現在部屋を取り扱っているのは台湾と日本のみですが、来年は韓国への進出も計画しています。その後、アジア圏での拡大も予定していて、台湾、日本、韓国の他に、香港、マカオ、シンガポール、タイにも浸透できればと思っています。また、そういったアジア各地域への拡大だけではなく、折角日本と台湾という友好国関係がバックボーンになっていますので、さらにディープに台湾の人に日本を知っていただく、また日本の人に台湾を知っていただく、という部分で貢献できたらと考えております。

台湾ではAirbnbは日本ほどの知名度はない

台湾の民泊と日本の民泊、共通する部分などありますか?

台湾では民泊の歴史が古く、農業や漁業の人の副業の手段として民泊が運営されてきました。中央政府としては民泊に関する規制緩和の方向ですが、実際は自治体に任せるという点が日本と似ていますね。

Airbnbは台湾では日本ほどの圧倒的な存在感はありません。Agodaはずっと以前から展開されているので台湾でも知名度は高いですね。

複数人で宿泊するのに最適な民泊

AsiaYoを利用するゲストはなぜ民泊を利用するのでしょうか?

家族や友人の複数人で利用できる点ですね。私も日本は宿泊にかかる費用が高いなと感じています。1人であれば、まだ良いのですが、複数人になると途端にコストパフォーマンスが悪くなるように思います。安く費用が抑えられて、複数人で宿泊できる選択肢として今は民泊が最適なので、民泊を利用しているというゲストさんが多いですね。

大阪から日本に入ると効率が良く人気が高い

ゲストはどんなエリアや物件を好むのでしょうか?

浅草、新宿、池袋あたりは観光・交通の便が良いので人気ですね。大阪も人気があります。大阪は日本の中心部で京都や四国、九州へもすぐに行けるので、日本をうまく旅行しようと思ったら大阪から入るのは効率的で人気です。大阪での予約が多い理由としては、根本的な問題にホテルが少ない点が挙げられます。ホテルの予約ができないので、民泊利用が増えているのだと思います。1つのビル全ての部屋で民泊運営されている所は、団体旅行者にとっては使い勝手が良く、予約が入りやすいですね。福岡も最近予約が伸びています。もともと台湾人の旅行客が多い地域では、やはりニーズがあるようです。

部屋は、一般的な傾向として、清潔感があり、居心地が良さそうで、交通の便が良い部屋などが人気です。近代的なアジアの感覚で日本を見ているのだと思います。欧米の方達からすれば、日本の文化にディープに触れたいというニーズもあると思いますが、同じアジア人同士ということでカルチャーがそこまで大きく違わないので、異文化との交流というよりは、居心地の良い部屋が予約される傾向があります。

サービスレベルの更なる向上

民泊について何か課題感はありますか?

民泊はまだ玉石混交という印象があります。ゲストさんが十分に安心して宿泊できるようクオリティを今後も更に向上する必要があると感じています。改善はされているのですが、鍵の受け渡しや、24時間のサポート体制など今後業界全体で取り組んでいかなくてはならない部分はまだまだ数多くあります。夜中にゲストさんがチェックインしようとしても、鍵が開かないとかになると、ゲストさんはすごく困りますよね。

ゲストさんが来たときの期待値とサービスレベルの合致させる、できれば期待値を超えるサービスが提供できる。この原則をちゃんと考えているホストさんはきちっとされていて、そういうホストさんはレビューも評価が高く、どんどん予約が増えています。民泊業界は競争が激しくなっていますので、今後、こうした部分がシビアに結果に反映されてくるのだろうなと感じますね。

一方で、googleやスマートフォンのおかげで旅行者の方が恐怖感なく色々な国に行けるようになりました。日本は特に住所の○○番地○○号など、初めての方には難しいじゃないですか。でも今はそんなことはなくて、スマホがあればどこへでも行けます。それが旅行ブームの大きな要因になっていると思います。

2020年以降の民泊は

民泊をブームと捉える声がありますが、内海さんはどうお考えですか?

民泊は流行りとか、そういうものではないと思います。むしろ、2020年頃にようやく根付いてくるのかなと。日本人が家族旅行や、友達と旅行で利用するようになるのではないでしょうか。今は外国人旅行者の利用が多くを占めていますが、信頼できる人から教えてもらった民泊だったり、その人自身が運営している民泊だったら泊まってみたいなと思いますよね。今の玉石混交な状態が淘汰され、磨かれてゆくなかで日本人が満足できるレベルの民泊ホストが増えて、日本人が利用するようになると考えています。

取材協力:AsiaYo ヘッド・オブ・ジャパン 内海玄氏
関連URL:「AsiaYo