“民泊新法「住宅宿泊事業法案(仮称)」では、現状は変わらない” 現場が感じる違和感

「住宅宿泊事業法案(仮称)」として3月に国会提出が予定される民泊新法は、営業上限日数を180日以下とするなど、その概要が少しずつ明らかにされ、民泊事業者からの注目を多いに集めている。

20161月末に東京都大田区にて募集が開始された「特区民泊」の物件数が、2017210日更新の公表資料にて、100室を超えたことが伝えられた。

1年で約100室というのは、大田区として当初想定していたペースと比較して、どうなのだろうか。大田区としての見解はさておき、民泊関連事業者からは特区民泊がほとんどホストから見放されたメニューだとする声が圧倒的に多いように感じられる。

そして、彼ら関連事業者は年内に施行が見込まれる民泊新法について、どのような意見を持っているのだろうか。

施設の運営を代行する、いわゆる「運営代行」会社を中心に、民泊新法に対する意見を聞いた。

民泊新法に関する事業者の意見

180日という規制がある以上、大きな変化は見込めない」

関東、関西圏を中心に運営代行事業を営むA社の代表は、民泊新法に対し悲観的な意見をもつ一人だ。

「民泊をやっている人の多くが投資目的なので、180日という規制がある以上、大きな変化は見込めないでしょう。不動産オーナーから見れば、ただでさえ変動性が高い民泊なのに、180日という売上のキャップをしてしまうような規制が設けられてしまうと、賃貸に出した方が安全、無難だという考えになってしまう。それなので、多くのオーナーさんはわざわざ新法に則ることをせず、違法民泊を続けるという選択肢になるのだろうなと思います。」

こうした意見は、他事業者からも多く挙げられ、180日規制に対する懸念が新法民泊の普及の大きな足かせになるとするものだった。

「認定ハードルは下げて、きちんとした運営がされるように注力してほしい」

東京都内で数十件の施設運営代行を営むB社は、新法の狙いについて異を唱える。

「民泊というシステムは、訪日旅行者に新しい文化体験を提供することができるし、施設提供者は海外文化との交流に加え、副収入の獲得ができる。本当に良いシステムだなと思います。ただ、最近は文化交流というよりもゲストと一度も顔を合わせないような不在型の運営が目立つようになり、トラブルが増えてきました。

僕が住んでいるマンションでも民泊をやっているであろう部屋がいくつかあって、ゴミ出しとかがとにかくひどいです。目的はどうであってもいいのですが、まずはこの運営の質をあげて、周囲に迷惑をかけないよう新法では規制、管理してほしいなと思います。

いまの新法は、入り口の部分に厳しい内容が多いので、誰も許可を取ろうと思えないような内容になっています。そうなると、結局は管理できないので、運営の質は向上しないですよね。認定ハードルは下げて、きちんとした運営がされるように注力してほしいなと思います。

民泊ホストのほとんどが認定を得るメリットを設け、その上で近隣住民との調和を図るために、運営の質を自治体が管理するような内容にしなければ、状況は一向に変わらないのかなと思います。」

193回国会(常会)国会提出予定法律案には、「住宅宿泊事業法案(仮称)」の要旨として下記のように記載されている。

近年の我が国における観光旅客の宿泊をめぐ る状況に鑑み、住宅宿泊事業(仮称)を営む者 等の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外 からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に 対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進す るため、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制 度並びに住宅宿泊管理業(仮称)を営む者及び 住宅宿泊仲介業(仮称)を営む者に係る登録制 度の創設等の措置を講ずる。

B社が訴えるように業務の適正な運営を確保するためには、まず第一に認定施設割合を上げ、事業者の運営実態を把握しなければ、要旨を満たすことは難しいのではないだろうか。