モノからコトへ、農泊や宿坊など新しい宿泊施設が人気

訪日旅行者による爆買いの終わり

2015年の新語・流行語大賞に選ばれた「爆買い」。爆買いとは、中国人旅行者を中心とした訪日外国人が滞在中に家電、美容・化粧品、高級ブランド品などを数十万円から数百万円と大量に購入することを指し、大きな経済効果をもたらした。

円高と中国政府による関税強化の影響で、中国で転売することを目的に高級時計やブランド品、化粧品、家電などを大量に購入していたブローカーが姿を消し、インバウンド対策を施した免税店の客単価は大きく減少した。

そして現在、旅行者のニーズはモノ消費からコト消費へと移行しつつある。コト消費とは、日本ならではの文化体験を味わうことであり、各地でユニークな体験型宿泊サービスが提供されている。

「宿坊」寺社で宿泊、写経や座禅を体験、食事は精進料理

積水ハウスは、和空プロジェクト社と提携し、宿坊創生事業に取り組んでいる。宿坊とは、僧侶や参拝者のために設けられた宿泊施設であり、これまでは外部からの利用者を受け入れていなかった。しかし、最近では京都の寺社を中心に訪日旅行者を受け入れる動きが増え、精進料理や写経、座禅体験ができると人気が高まり、観光客が年々増加している。

積水ハウスと和空プロジェクトは今年3月、大阪市天王寺区に観光客向け宿坊を初めて建設する。客室数は26室、12万円から宿泊することができる。

「農泊」遊休農地と訪日旅行者をマッチング

今年2月1日、株式会社農協観光と株式会社百戦錬磨および子会社のとまれる株式会社は、農泊を推進し、地域を活性化させることを目的とし、業務提携契約を締結したと発表。複数の地域を年次的に拡大し、モデル地域選定・開発・支援を進めるという。

農泊とは、農業や漁業を産業の主力とする地域において、その地域の伝統的な生活を体験し、人々との交流を楽しむ滞在スタイルを指す。

現在、人口減少と高齢化により、空き家と遊休農地の拡大に悩む農村部が増加する一方で、田舎暮らしに関心を持つ都心住民の増加や訪日旅行者の継続的な増加が予測される。農協観光と百戦錬磨が取り組む「農泊」は、これから多様化が見込まれる宿泊スタイルの1つとして、大いに注目が集まる。

民泊ホストに求められる差別化

2015年後半から急激に伸びた民泊市場だが、施設数の伸びは鈍化し「熱」は一旦の落ち着きを見せている。鈍化の要因の1つとして、競争環境の激化が挙げられ、ただ施設を提供するだけでは予約を獲ることが困難な状況だ。

最近では、差別化を図るために独自で「体験サービス」提供に動き出す事業者が増え、旅行者は茶道、武術、料理教室など様々なアクティビティを体験できるようになった。民泊予約サイト最大手のAirbnbは、昨年から宿泊施設に加え、新たにアクティビティーを登録することができるようにした。これにより、旅行者は施設と体験の両方を閲覧、予約することができる。

今後は、インテリアのデザインや写真などの見せ方による差別化だけではなく、プラスアルファとなる「コト」「体験」を提供しなければ、ゲストの目を惹きつけることが難しくなることも考えられる。

参照:http://news.infoseek.co.jp/article/kyodopr201702168913/
参照:http://www.sankei.com/west/news/161105/wst1611050014-n1.html